2015年8月6日木曜日

しまくとぅば日記3(2月8日) あの頃の沖縄には鉄道が走っていました 【うちなーぐち(沖縄方言)講座・じゅん選手】

           戦前の沖縄を走っていた軽便鉄道。嘉手納駅の写真です。
       
じゅん選手の「しまくとぅば日記」今回はその回目。
回を重ねるごとにちょっとずつ難しくなるから
1回目から順番に読むといいかもです!

新聞には掲載されていない全文直訳、簡単な文法解説をしてみました。
沖縄タイムスHPのpodcastからの聞きとり書きです。

「ご、語幹って?活用って何?」ってなった時には
ここ見て下さい!動詞の形が分かると、かなり読めるようになりますよー。
うちなーぐち 動詞の活用形① うちなーぐち 動詞の活用形②

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2月1日。与那原町 ぬ 軽便鉄道復活祭 ぬ 司会   さびたん。
2月1日。与那原町 の   軽便鉄道復活祭   の  司会(を) しました。

軽便 でぃれー、   戦前、うちなー県内 を あっかちょーたる
軽便 っていうと、   戦前、 沖縄県内   を     走っていた

沖縄県営鉄道 ぬ ぐとぅ やいびーん。
沖縄県営鉄道   の   こと        です。

1914年 に なーふぁ から 与那原 までぃ 開通し
1914年  に     那覇      から  与那原   まで      開通し

2014年 で 100周年    なたん でぃぬ ぐとぅ やいびーん
2014年  で   100周年(に) なった  との      こと        です。


さびたん   「すん(する)」の連用語幹[s]
                 [s] + 丁寧 [abiin] → [sabiin]
                 [sabiin]([in]脱落) + [t] + 過去[an] → [sabitan] 

でぃれー  (下の☆欄参照)

なたん   「ないん(なる)」の連用語幹[nat] + 過去[an] → [natan]



●追加● 司会の様子を撮影した動画をyoutubeでみつけました。

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イベント うて(ぃ)、わん が 司会    さびてぃ
イベント     で          僕    が  司会(を)    しまして

地元エイサー や バンドライブ、    はねーかちょーたん。
地元エイサー  や   バンドライブ(が)  盛り上げていました。

わん や はじみてぃ 軽便 でぃぬ くとぅば   ちち
  僕   は     初めて     軽便   という    言葉 (を)   聞き

ぬー やが わからんた     しが
 何     だか    分からなかった けど

また てぃーち うちなー ぬ 歴史 ぬ びんちょう  ないびーたん。
また    ひとつ     沖縄      の  歴史   の     勉強(に)    なりました。


さびてぃ                  「すん(する)」の音便語幹[s]
                              [s] + 丁寧[abiin] → [sabiin]
                              [sabi]([in]脱落)+ [t] + 接続形[i] → [sabiti]

はねーかちょーたん 「はねーかすん(盛り上げる)」の音便語幹[haneekach]
                              [haneekach] + 継続[oon] → [haneekachoon]
                              [haneekachoo]([n]脱落) + [t] + 過去[an] → [haneekachootan]


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わん や エイサー すがい   そーた    くとぅ
僕   は エイサー   姿(を) していた   ので

地元 ぬ おばー んかい 「エイサー や 何時 から もーい が?」
地元  の   おばー      に     「エイサー   は  何時   から   踊るの か?」

でぃち とぅーらったん。 「わんねー 司会 やいびーる」
   と       聞かれた。     「  僕は       司会      です」

んち あびた くとぅ、「司会 ぬ ちゅ や スーツ    はかんねー ならん   どー」
  と     話した ので、「司会 の  人    は  スーツ(を) 着ないと       いけない  よ」

でぃち ぬーらったん。 はっはっは。
  って      怒られた。      はっはっは。


そーたくとぅ      「すん(する)」の音便語幹[s]
                       [s] + 継続[oon] → [soon]
                       [soo]([n]脱落)+ [t] + 過去[an] → [sootan]
                       [soota]([n]脱落) + 「くとぅ(ので)」

司会ぬちゅ   (下の☆欄参照)

はかんねー   「はちゅん(履く)」の基本語幹[hak]
           [hak] + [an] → [hakan]
                       [hakan] + 条件を表す助詞[nee] → [hakannee]

でぃち      (下の☆欄参照)

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「ぬ(標準語の「の」)」 + 「ちゅ(人)」の変化

    ①沖縄(うちなー)+ 「」 + 「ちゅ」 → 沖縄(うちなー)ちゅ
        (直前が[n]以外の音 → 「ちゅ」に変化
    ②台湾(たいわん) + 「」 + 「ちゅ」 → 台湾ちゅ
        (直前が[n]で終わる → 「ちゅ」のまま

          (「司会ぬ人」となっているのは、地域によって言葉が少し異なるためか
           あるいは、初学者に分かりやすいように配慮しているのかもしれません)

☆「ぬ(標準語の「の」)」 + 「ちゃー(達:複数形を作る)」の変化
   
    ①童(わらび) + 「」 + 「ちゃー」 → わらびちゃー
        (直前が[n]以外の音 → 「ちゃー」に変化
    ②若者(わかむん) + 「」 + 「ちゃー」 → わかむんちゃー
        (直前が[n] → 「ちゃー」のまま)

  

☆「(ん)でぃ」の変化
   
  「んでぃ」・・・引用を表す助詞 「~と」
                      (直前が[n]音で終わる時は「ん」を省略して「でぃ」となることも。
  
  「んでぃ」 + 「いーん(言う))の活用形 
   ①「んでぃ」 + 言って[ichi]           ([i]脱落)→ んでぃ(~といって)」
   ②「んでぃ」 + 言う(連体形)[iiru] ([ii]脱落) → 「んでぃ(~という:連体形)」
   ③「んでぃ」 + 言うと(仮定)[iree] ([i]脱落) → 「んでぃれー(~というと:仮定)



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<軽便鉄道のこと調べました♪>
1914年に開業したのは与那原線。1922年に嘉手納線、
1923年には糸満線が開業。
与那原線は、那覇(今の泉崎バスターミナル)⇔古波蔵⇔真玉橋⇔国場⇔
一日橋⇔南風原⇔宮平⇔大里⇔与那原。
那覇国場大通り沿いのモスバーガー向かいの水路には、
レンガ造りの橋脚が残ってる、らしいですね。
レール幅は、本土の標準的なサイズよりも小ぶり。

こちらのサイトには、当時の駅舎の写真と今の写真が掲載され、
とても丁寧な説明が書かれていました。サイトへのリンクです

あんしぇ、またやーたい (^-^*)♪


ひめゆり橋」と呼ばれていた橋に立つ女学生さんと軽便鉄道の写真です。学校のそばに嘉手納線が走ってて、この橋脚は学校近くにあったそうですね・・出典は『ひめゆり平和祈念資料館』という本です。画像を縮小しましたが、友達と一緒に楽しそうに笑ってます。悲しい写真です。



● 解説に用いた[      ]内の発音表記は、初学者の便宜を図るため、読みやすい表記にしています。ご了承ください ●